夫の育休、ほろにが回想録

夫の育休、ほろにが回想録

夫の育休を妻目線で振り返りました。15分読み切り型です。

夫の育休誤算6 二人で力を合わせれば、なんとかなる

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(専業主婦を尊敬するタロウ氏)


夫の育休期間、夫にとっては「地獄」、
私にとっては「孤独」の一言に尽きる時間でした。




家にも職場にも、どこにも居場所のない時間。
(今までが恵まれていたのかもしれないけど)
夫の転勤について見知らぬ土地に行ったときより何百倍も孤独でした。



夫は早々にママ界に馴染み、
専業主婦は可哀想だと、帰宅が遅い旦那を持つよその奥さんは可哀想だと同情を込めて呟き、
私はその度に胸を痛めておりました。



職場復帰してしまった私にとって、
自分の夫が専業主婦やワンオペの辛さを理解したところで意味はなく。。


育休をとりたいという夫のために(と思い込んで)早々に職場復帰して、
マトモに眠れず会社に行き、昼食を一人かきこみ搾乳し、慣れない部署で息も絶え絶え、
家に帰れば一息つく間もなく子供を抱きかかえ、髪もマトモに乾かせずに眠りにつく私は、
タロウにどう写っているんだろうと、
よそのママよりラクでもしてるように見えるのだろうかと卑屈な心で考えてました。



二人で力を合わせればなんとかなるなんて、
なんて浅はかな考えだったんだろう。

私が夢見た家族円満の図からは程遠い現実で、家のなかはギスギスする一方。

子供はかわいいし何より大切、でも
片時も気が休まる時がない。

些細な喜びも悲しみも誰とも共有できない。

そう思いこみ、心に壁を作って過ごしてました。



休日道で出会う夫のママ友たちは、夫に笑顔で挨拶した後私をちらっと見て黙って目をそらし(てるような気がし)、
心がささくれだっていた私にはその無言の視線がまるで自分を責めているように感じました。


責められている、というのは疲労と睡眠不足が祟った卑屈な被害妄想ではあるものの、
当時はそれが「自分とは違う世界の人間」を見るような、そんなよそよそしい視線に感じましたし、やっぱり完全な思い込みでもないように思うんです。。

夫に育休を取らせて小さな子供二人を押し付けて仕事をする私への戸惑い。

会社では会社で、産休前とは全く毛色の違う分野で人間関係も一からやり直し。

幸運にも温かい人が多い職場ではあったけど
フルパワーで働けないことへの私自身の引け目と、復帰したての育児中社員への気遣いがあいまって、なんとなく距離を詰められず、心開けず。

育休あけて劣化だのなんだのの軽口も軽く受け流せず。

よく復帰したてのママ達がいう
「子育てに比べたら職場なんか息抜き!」
という気分には到底なれない日々でした。



夫の発言も、よそのママの視線も、
職場のひとの優しい距離感も、育休あけイジリも

誰にも深い悪気はないのはわかっていたけど
疲れた心には何もかもがぷすりぷすりと心に突き刺さってきて、

ただでさえ人見知りで不器用な私の心はもう空気を補充しても膨らまないレベルで穴だらけでした。



もはや誰でもいい、何でもいい、
私の話を全部受け止めてくれなくてもいい、
私を取り巻く状況を、私が意味するところを深く理解してくれなくてもいい、

ただただいい加減にでも、
「そっか大変なんだね」と相槌をうってくれるひとが欲しかった。



でも現実は、誰かとゆっくり話す時間もなく、会社でも家でも「中途半端でスミマセン」と肩を縮めて過ごす日々。



人間にも山犬にもなれないもののけ姫の気持ちってこういうことかなと、もののけ姫に思いを馳せました。



母親業にも父親業にも専念できない、
仕事に邁進するワーママでも家庭を慈しむ主婦でもない、
かわいい娘でもいい嫁でもない。
何者でもない。何者にもなれない。
何者とも分かり合えない。もののけ状態。



気が遠くなるほど悲しくて孤独で疲れているのに
くだらない例えとアシタカを一喝するモロの顔が思い浮かんで一瞬にやける自分のしぶとさに少々あきれもしましたが。




時が経った今考えれば、色々なことが独りよがりの被害妄想だと思います。


誰が悪いわけでもなく、
私自身の人見知りの性格と甘え下手が祟っただけだとも言えるから、
他の人ならもっとうまくやれるかもしれないです。




少し自分を擁護した見方をすると、
夫の家事育児コミットで妻が働きにでることがまだ珍しい、周りがやっていないことに挑戦したが故の代償だった、とも言えるかもしれません。



もっと男性育休が普通になれば、また新しいコミュニティができて、
育休中の男性にも、パートナーに育休をとってもらう女性(私みたいな人見知りにでも)にも、
息の抜き場、わかり合う友ができていく世の中になっていくかもしれません。



そして今思えば、そんなコミュニティ形成を待たずとも、
職場でも家庭でもない、私が「スミマセン」と思わなくてもいい、気を許せる友人と会ってゆっくり話す時間を確保しておけば、まだ気が楽になってたかなぁと思います。



スミマセンすみませんと思うあまり、
せかせかとオフィスと家の間を往復し、
オフィスにいる時間、家にいる時間を稼ぐことだけに終始して、

結果孤独で不機嫌で自己犠牲的なツマラナイ人間になって敬遠されるくらいなら、

思い切って息抜きして職場や家に笑顔や新しい風を運んだ方がよかったんじゃないかと、
今にして思います。

似たようなことされるかたは
ぜひ思いきって仕事とも家事育児ともちがう時間をつくってほしいです。


当時の自分に会えるなら、
今すぐどこかに連れ去りたいです。


誤算はこれで終わりです。

このあとは、誤算からの学びを一度整理して、
その後ちょっと違う観点から「夫育休ライフを経た気付き」を投稿したいと思っています。